心の奥底に沈む断片を、線と色でひとつずつ掬い上げる——ふたば りくは、発達障害、うつ、解離性同一性障害という複数の“内なる世界”と共に生きながら、その揺らぎと痛みを 「創造の源」 として昇華する稀有なアーティストである。彼の筆致は、ひとつの人格が描く線ではなく、むしろ多層に重なる心の影たちが響き合うようにして生まれる。混沌と静寂、解放と拘束——その相反する感情がキャンバスの中で激しく衝突し、やがて“美”という名のひとつの形へと結晶化していく。2021年、サンリツユニフォームデザイン最優秀賞に輝いたことを皮切りに、可能性アートプロジェクト(2021・2023・2024)採用、2025年「クルマと叶える世界」シーキューブトータル賞、ホーユー株式会社ホーユー賞(2024・2025)など、その実績は確かな評価として積み重なり続けている。ふたば りくの作品は音を持つ。ロック、ハードコア、ドラムンベースの疾走感が、画面の奥から鳴り響くような鋭いリズムを刻み、見る者の心拍を自然と速めていく。同時に、ベクシンスキーやH.R.ギーガーの系譜を思わせる幻想と深淵の造形が、静かに闇をまといながら佇む。その世界は禍々しくもどこか美しく、痛みと救いの狭間で揺れる魂の影を映し出す。ふたば りくのアートは、“心の底にしまいこんできた感情”に触れるような静かな衝撃をもたらす。見る者の内側に潜む何かを呼び起こし、深淵へと落ちていく感覚と、そこからすくい上げられる光の気配を同時に残していく。それは傷ついた心が奏でる、限りなく真摯で、圧倒的に美しい創造の証——。