3歳5ヶ月の頃に自閉症と診断され、幼い頃は言葉で気持ちを伝えることが難しかった。そんな中、「言葉以外にも伝える方法があるかもしれない」と、家族とともにスケッチブックへ絵を描き始めたことが、現在の創作活動の原点となっている。発語はゆっくりではあったものの、言語訓練や絵カードなど、家族とともにさまざまな方法を積み重ねながら成長。現在では、毎日の出来事や感じたことをスケッチブックに描き、絵を通して周囲の人とコミュニケーションを楽しんでいる。作品には、動物、お弁当、歌や日常の風景など、本人が心を動かされたモチーフが数多く登場する。自由で伸びやかな線、素直な色使い、そして飾らない視点には、市川良ならではのやさしさと純粋な感性が宿っている。体を動かすことも好きで、散歩やプールも日々の楽しみのひとつ。養護学校高等部卒業後は、障がい者支援施設にてパンやクッキー作り、カフェでの接客などにも真剣に取り組みながら、創作活動を続けている。言葉だけでは表現しきれない想いを、絵によってまっすぐに伝える市川良の作品は、見る人の心に静かな温かさを届けている。